特色加点制度の開発・実施

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「特色加点」とは,一般選抜における任意提出の書類審査です。大学入学共通テスト,個別試験の合計点(以下,「当初配点」という。)とは別に,加点枠を設けます。志願者の申請を原則とし,申請がなければ当初配点のみで合否判定を行います。

特色加点制度のポイント

● 合格ボーダーラインの受験者を対象に,学力検査とは異なる視点で多面的に評価。
合格ボーダーライン付近の数点差には,多くの受験生が並んでいます。この数点差に明確な学力の順序性があるわけではありません。であれば,学力検査とは異なる側面から,学部が求める学生像により近い受験者に加点することでボーダーラインの合否を入れ替えようとするものです。合格ボーダーラインの範囲は,加点しても合否結果に影響が生じない学力検査の得点上位層と下位層を除いた受験者層です。この範囲の受験者のみを抽出して採点する学部と特色加点の申請者全員を採点する学部がありますが,どちらの方法でも最終的な合否結果は同じとなります(全員対象の採点の場合でも,合否結果に影響が生じない学力検査の得点上位者と下位者の合否は変わらないため)。

● 申請する活動や実績は,主体的に取り組んだものであれば分野等を問わない。
一般選抜であることを考慮し,多くの受験生が申請できることを前提としています。これまで申請された取り組みの具体例として,研究活動(探究型学習,課題研究,各種教育プログラムなど),課外活動(部活動や生徒会活動など),社会活動(ボランティア,地域活動など),資格・検定取得,コンテスト等の実績,海外留学経験,その他主体的な活動などがありますが,個人的な取り組みでも構いません。なお,申請できる取り組みの内容は,高等学校入学以降(あるいは中学校卒業以降)のものです。過年度卒業者は卒業後の取り組みでも申請可能です。

● 評価の視点は,入学後の学びとのマッチングや教育研究を活性化できる可能性。
評価は,「全国大会△位入賞は〇点」といった採点ではなく,アドミッション・ポリシーの観点から定性的かつ総合的に評価します。したがって,志望学部の学びを理解し,入学後の学習や活動に何を生かせるかをしっかり考えてアピールすることを求めています。そのため,アドミッション・ポリシーや入学後の学習との繋がりがまったく見えないものは,加点の対象になりません。申請内容を補完する根拠となる資料等も重要です。

【申請する項目】
1.活動・実績の名称
2.活動・実績の主催、認定、授与、発行等の機関の名称
3.活動期間または実績取得年月日
4.活動・実績を証明する資料及び参考資料等の添付
5.活動実績の概要(規模、参加資格、入賞条件、課題研究の成果など)【400字以内 】
6.APや入学後の学習との関連性 【400字以内】
「申請する実績・活動を通して身に付けた能力・スキルや経験などが、大学入学後の学習や活動に
どのように生かせるか」を記述する
注)6の主張を裏付ける根拠資料や参考資料も添付できます。

● 申請はWeb出願を通じて行い,採点もシステムを利用して行います。
受験生はWeb出願の手続きの中で,大学が指定した項目をテキストで入力します。一方,活動実績の根拠資料や参考資料は,電子ファイルや動画共有サイトのURL(動画の場合)を張り付けることができます。これにより,書類による審査よりも情報量の多い資料を参考に,文章の巧拙の影響を受けないように採点するようにしています。なお,電子ファイル等で提出した出願書類等は,入学後に原本確認する場合があり,虚偽の申請,不正等の事実が判明した場合は,入学許可を取消すことを募集要項に記載しています。
一般選抜における迅速かつ効率的な採点作業を実現するために,佐賀大学と河合塾と共同で開発した評価支援システム(J-Bridge System)を利用しています。

● 申請書作成を通して,入学後のミスマッチを回避
大学入学後に学習内容に興味をもてずに学業不振に陥ったり,大学生活に適応できずに退学したりとミスマッチを起因とする問題は少なくありません。その背景の1つに,共通テストの結果だけで受験を決めてしまうという行動があります。特色加点申請では,志望学部が求める人材像や入学後の学習を理解することが効果的なアピールに繋がります。振り返りの機会を入試プロセスに組み込み,適性や志向との摺合せを自ら行ってもらうことで入学後のミスマッチを回避することがねらいです。つまり,「自分の進路を見つめ直す機会」として特色加点申請を位置づけています。佐賀大学では,志望学部に対する理解を促すために,アドミッション・ポリシーも精緻化してきました。

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 導入学部
  • 教育学部(2021年度入試より実施)
  • 芸術地域デザイン学部 地域デザインコース(2021年度入試より実施)
  • 経済学部(2021年度入試より実施)
  • 理工学部(2019年度入試より実施)
  • 農学部(2019年度入試より実施)

報告・発表等

  1. 一般入試における主体性等評価の導入とその結果」(大学入試研究ジャーナル No.30)、2020年3月発行、pp.1-7.
  2. 一般入試における「主体性等」評価に向けた評価支援システムの開発」(大学入試研究ジャーナル No.29)、2019年3月発行、pp.1-6.

 

報道・記事・書籍等での紹介

  1. 【事例集】探究力評価への挑戦-主に大学入試における事例-(内閣府 教育・人材育成ワーキンググループ)2022年4月掲載、pp.9
  2. 大学入試改革の「本丸」「佐賀大・西郡大さん一般選抜に『特色加点』を入れて起きた受験生の変化」」(朝日新聞EduA サイト)、2022年03月01日掲載(59号にも同記事掲載)
  3. 一般選抜における多面的・総合的評価の拡大/佐賀大学 Vol.228」(カレッジマネジメント)、2021年5-6月号掲載
  4. 大学入試でも広がる『主体性等評価』」(朝日新聞EduA サイト46号)、2021年04月12日掲載
  5. 佐賀大学が特色加点制度を拡大し、全学部の一般選抜で多面的評価を実施」(Between情報サイト)、2021年01月06日掲載
  6. 『佐賀大が独自の入試改革で風穴』ボーダーラインの受験生に任意の特色加点制度」(財界九州2020年10月号)、2020年9月20日発行、pp.102-103.
  7. 佐賀大の特色加点制度、一般入試で主体性評価 ―合格ボーダー層対象、望ましい学生を獲得―」(日本経済新聞 朝刊)、2020年6月1日掲載.
  8. 佐賀大学の「特色加点制度」が(教育の森コーナー)にて紹介(毎日新聞)、2020年5月18日 全国版朝刊掲載.
  9. 変わる高校教育 合格ボーダー層を評価対象とした独自の『特色加点制度』を導入 活動実績と入学後の『学びとのマッチングを重視」(河合塾/Guideline10月号)、2019年10月1日発行、pp.10-13.
  10. 変わる大学入試2020『主体性』合格ボーダー層に絞り評価 本人文書・資料もとに加点(佐賀大学)」(朝日新聞)、2019年9月30日掲載.
  11. 佐賀大の入試改革<下>2019年度一般入試で主体的な活動・実績を評価」(Between 情報サイト)、2018年1月25日掲載.
  12. 志願者の主体的な活動に加点する『特色加点制度』」(河合塾/Guideline7・8月号)、2018、pp.7-9.