理学と工学を融合し、希望に満ちた未来を創造する。

理工学部は、建学時から理学と工学の融合をテーマとしてきました。地球上の生き物や環境と共生し、新たな希望に満ちた未来を創造していくには、双方の領域で自在に思考できる「知」が必要不可欠です。理学で原理を学び、工学で応用技術を学び、「知」のハーモニーの中から次の世界を生み出す「人」が育っています。本学部は、現在13コースにおいて21世紀の高度科学技術時代に活躍できる人材の育成と、知的創造を目指して教育研究を行っています。理学と工学のコースが同一学部にあるという特色を最大限に発揮し、科学と技術の融合による基礎科学とハイテクノロジーの推進を旗印に、ユニークな教育と研究に意欲的に取り組んでおり、まさに時代の要請に応えることのできる体制といえるでしょう。

教育目的

理工学部は、幅広い教養と理工学基礎力を土台として、多面的視点を持って社会の広い分野で活躍できる科学・技術の専門的素養を持つ人材を育成することを目的とします。これを実現するために1学科13コースの教育体制を取り、1年次は共通の講義で基礎学力を整え、2年次のコース配属によりそれぞれの希望する専門に分かれて教育を受けます。

在学生インタビュー

写真:岡田 菜花

専門分野の学び+実践的な活動で自分を磨き
将来は宇宙関係の仕事をしたい。

宇宙や素粒子について学びたくて進学し、今はそれらの分野の研究に必要な量子力学や統計力学など、物理学の基本的な学習を行っています。物理学コースの先生方とは距離が近く、先生方の研究の話を聞くこともでき、質問もしやすいです。また、産官学連携拠点「佐賀大deラボ」でアルバイトをしており、CAD設計やCG制作を実践的に行っています。この経験を最先端の物理学を理解する取組みにも拡張し、最近では、ブラックホールの2次元画像を3Dプリンターで立体的に視覚化する試みを行っています。将来はここでの経験と学びを活かし、宇宙に関係する職に就きたいと考えています。

理工学科 物理学コース
岡田 菜花 福岡県 西南学院高等学校出身

写真:岡田 菜花

インタビュー動画も
ご覧いただけます

「やりたいこと」が必ず見つかる多彩な13コース

さがつくポイント

専門性の高い13のコースで
「やりたいこと」が
必ず見つかる

011年次にさまざまな入門科目を学び
自分の「やりたいこと」に
向き合える

1年次には、理工教育の要である数学、物理、化学、生物、データサイエンスなどを学び、基礎力を強化。さらに、13の専門コースの教育研究内容に少しずつ触れることで、1年を通して「自分が何をやりたいのか」考える時間を持つことができます。自分自身の希望とじっくりと向き合い、2年次のコース選択に臨めるのが佐賀大学理工学部の特徴のひとつです。

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02他コースの人と協力して
課題を解決するサブフィールドPBL

複眼的な視点から業務を遂行する能力を醸成するために、2年次にサブフィールドPBLを実施。6つのサブフィールド(理学、情報技術、化学、機械工学、電気電子工学、都市工学)のうち、自分の専門外の5つのフィールドの講義を各3回、合計15回受講します。その後の演習ではコースの混在した5名程度のグループを作って、最新トピックや地域に根差した課題などに取り組みます。

[サブフィールドPBLの主な流れ]

  1. 自分の専門分野以外にも触れ、
    広い視野での知識を深める。

    専門外の分野であるサブフィールド(理学、情報技術、化学、機械工学、電気電子工学、都市工学)についての講義を受け、複合的な視点から物事を考える姿勢を養います。また、自分の専門分野との関連についても理解を深めます。

  2. 少人数グループで取り組み、
    課題を解決する力を育てる。

    講義後に、コースが混在した5名程度の少人数グループを作って周辺分野のサブフィールドを選び、課題に取り組むPBL演習を実施します。グループで計画・立案・実施し、問題解決に向けて取り組みます。

  3. 導いた結果をプレゼンして
    分析・説明する力を養う。

    演習終了後には発表会を実施。グループのプレゼンテーションに対して学生同士でディスカッションを行い、教員のアドバイスを受けながら最終的な結論を導いていきます。講義と演習、プレゼンテーションを通して、結論を導き出す能力を高めます。

03理工学部で行われているさまざまな研究テーマ

13の多彩なコースを持つ理工学部では、それぞれのコースによって研究内容も多種多様。どのような内容があるのかをしっかり事前に確認して、自分が一番興味を持てる内容を選ぶことができるのも魅力のひとつです。理工学部の教授たちが現在取り組んでいる研究テーマの一部を紹介します。

素粒子を探究し
宇宙の起源を解き明かす

理工学部 理工学科
物理学部門
船久保 公一 教授

私の研究分野は素粒子論的宇宙論です。素粒子物理学は物質の究極の姿とそれを支配する法則を探求する学問で、日本はこの分野のノーベル賞受賞者を輩出してきました。また、ここ10年来の観測技術の進展により、宇宙の中に原子核や電子といった既知の物質のほかに、未知の形態のエネルギーや未知の物質がどれほど存在しているかがわかってきました。私は素粒子論をベースに、宇宙の物質の起源を解き明かそうとする研究に取り組んでいます。

カメラとAIで力加減を
判断する「スマートハンド」

理工学部 理工学科
数理・情報部門
福田 修 教授

事故や病気で腕を失った人にとって、「義手」は重要な存在です。しかし、現在の義手は力加減がうまくいかないなどの課題があります。そこで、義手に「頭脳」を持たせる「スマートハンド」の研究を始めました。カメラ映像をAIにディープラーニングさせる「物体認識」の技術が急速に進歩しており、今後IoT技術で義手とAIとをつなげば、やがて本物の手と同じくらい的確に動かせる義手が実現するでしょう。

エネルギーを効率化できる
ダイヤモンド半導体の研究

理工学部 理工学科
電気電子工学部門
嘉数 誠 教授

地球環境にやさしい社会にするために、新幹線や電気自動車やエアコンなどの機器で貴重なエネルギーを効率よく使っていくことがますます求められています。現在は、そこでシリコン半導体が広く用いられていますが、ダイヤモンド半導体に代えることができれば、エネルギー効率が格段に向上することがわかっています。佐賀大学では、5年、10年先の実用化を目指して、世界最先端のダイヤモンド半導体の研究をしています。

建築×まちづくりデザインで
喜ばれる「まち」をつくる

理工学部 理工学科
都市工学部門
三島 伸雄 教授

「建築デザイン学」では、新しい建物を造ったり街並みの一部を変えることで「まちを元気にする」手法を研究しています。観光地再生の成功例として、佐賀県鹿島市の「肥前浜宿」があります。古い酒蔵を生かしてイベント会場にするなど酒蔵を中心としたまちづくりを推進し、多くの観光客が訪れるようになりました。まちのよさや住民のニーズなどを総合的に判断しながら、まちづくりを行っていく研究です。

04企業との共同研究に携わり
自分の研究が社会に出る感動を

理工学部では、さまざまな分野の教員が関連企業との共同研究を行っています。学生自身が在学中から共同研究に携わったり、自分のアイデアをカタチするなどの取り組みを行うこともあります。共同研究やインターンシップなど社会とつながる教育を積極的に行い、産業界で活躍できる科学者や技術者を育てます。

株式会社中山ホールディングス

株式会社中山ホールディングスは、ロボット開発を目的とした「佐賀大deラボ」を2019年8月に設置。現在は主に自立型ロボットの開発を行っており、その他3Dプリンターや金属加工を行うCNCフライス盤といったさまざまな機器も気軽に触れることができます。アイデアをカタチにするものづくりで地域貢献に役立てていくことを目指しています。

再生エネルギー研究

佐賀大学と佐賀県が連携し、共創プラットフォーム「CIREn(セイレン)」を設立。人材や知的資源を集約して産官学による研究開発を行い、県や企業と協力しながら再生可能エネルギーの技術開発、市場開拓を進めています。産学官のワンストップソリューションで、佐賀をエネルギー先進県として盛り上げていきます。

施設紹介

生命化学実験室

生命化学実験室

生命化学コースと応用化学コースの2年次や3年次が、各コースの専門内容を理解するために実験を行う施設です。

「いぶき」データ地上検証用レーザレーダ観測施設

「いぶき」データ地上検証用
レーザレーダ観測施設

JAXAや国立環境研究所と共同運用している施設。紫外~近赤外の光を成層圏下部まで照射して、上空の黄砂やPM2.5等のエアロゾルやオゾンの濃度を観測します。

講義室

講義室

理工学部講義棟にある学部開講授業を行う講義室です。講義棟にはこのほかに、大小合わせて12講義室があり、自習室やリフレッシュルームも備えています。

製図室

製図室 (都市工学デザインファクトリー)

建築環境デザインコースの「建築都市デザイン演習Ⅰ・Ⅱ」「建築環境デザインユニット演習」は、学生一人につき一台ずつの机が用意された製図室で行われます。

OB・OGインタビュー

石橋 春香さん

和歌山工業高等専門学校
知能機械工学科 勤務
石橋 春香さん
理工学部 機械システム工学科
2012年9月卒業

[業務内容]
工業高等専門学校の教員。専門である実験を継続して行いつつ、複数の授業を受け持っている。

大学での学びやサークル活動の経験が
今の仕事や研究につながっています。

私は大学の卒業研究で取り組んだ非破壊検査についてさらに研究を深めたいと考え、続けて研究ができる高専の教員になりました。現在は、超音波非破壊検査をはじめとした波動についての研究を進めつつ、学生に機械工作や電子制御、計測工学などの授業を行っています。高専は実践的な授業が求められるので、大学時代に学んだこと全てを駆使して挑んでいるところです。教員になる前にはエンジン周りの部品の設計製造の会社にも勤めていましたが、そこでも大学で学んだ熱力学・材料力学、計測統計・電気電子といった学びが非常に役立ちました。また、学祭をはじめとしたサークル活動にも取り組みましたが、そこでの経験や人とのつながりは大学生活での一番の思い出です。今は大学時代のように自由になる時間は少ないですが、もっともっと日々を充実させていきたいと考えています。