学生起業家特集

失敗を恐れない
自由な発想と環境が
新たな起業家を導き出す。

佐賀大学では、創造的人材の育成を目指して学生起業家育成の講演会を開催したり、
佐賀大学ベンチャーの称号を設けて支援を行うなど、学生ベンチャーに前向きに取り組んでいます。
そんな中で注目を集めているのが、理工学部の中山研究室。
学生起業家を輩出している環境や、学生起業家の姿を紹介します。

学生は「大変な研究室」と言いながらも、和気あいあいとした雰囲気。
しっかりと勉強ができ、「ここなら面白いことができる」
「ここなら自分を伸ばせる」と思えるのだとか。

中山研究室は、理工学部の中山功一先生の研究室です。ドローンを使った防災研究、ディープラーニング、ブロックチェーンなどを中心にしながら、30人ほどのメンバーが自由に研究を行っています。

中山研究室から最初に起業したのは、2017年の合同会社ロケモAI。
以来、次々にメンバーが起業し、現在4人の学生起業家が在籍していますが、「起業はあくまでソリューションの一つ」というのが先生の考えです。

優秀な学生が多く、仕事が増えた時にはお互いに助けあえる環境があることも、起業を支えている一つの要因です。

  • ロケモAI/株式会社NEXS

    合同会社ロケモAI 代表社員(創業時)/ 株式会社NEXS 代表取締役社長

    梶原 薪
    佐賀県 唐津東高等学校出身

    学部4年次で起業。地図に関する研究をし、幼稚園や保育園にバスの位置情報を知らせるサービス提供で起業。研究室最初の起業となった合同会社ロケモAIの創業時の代表社員で、のちに一人で株式会社NEXSを起業。

  • 株式会社SA-GA

    株式会社SA-GA 代表取締役社長

    森山 裕鷹
    福岡県 福岡工業高等学校出身

    学部4年次の夏に起業。ブロックチェーンを研究し、複数の特許を取得。その特許の製品化をきっかけに起業し、現在は、学校の先生たちの業務負担をなくすために、学校PAYで校納金などのキャッシュレス化に取り組んでいる。

  • 株式会社山城機巧

    株式会社山城機巧 代表取締役社長

    山城 佑太
    福岡県 八女学院高等学校出身

    中山先生のために作った、腰の負担を軽減する用具〈フワット〉を開発し販売。「福祉機器コンテスト」や「さがラボチャレンジカップ2019」で受賞し、2020年には「キャンパスベンチャーグランプリ」の全国大会で最優秀賞を受賞。

  • 株式会社AS

    株式会社AS 代表取締役社長

    浅川 泰輝
    福岡県 東福岡高等学校出身

    学部4年次で起業。インターネットを使ったモバイルオーダーシステム「ASオーダー」を提供。「さがラボチャレンジカップ2020」で最優秀賞を獲得し、「佐賀大学発ベンチャー」称号の第2号を授与される。

学生起業家座談会

起業のきっかけを教えてください。

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梶原さん
もともと起業に興味はありましたが、在学中に起業する想定はしていませんでした。研究の中で開発したシステムを仕事として提供するには、会社というカタチをとった方がいいだろうということで、起業することになりました。
森山さん
私も当初から起業しようと思っていたわけではありません。ただ、研究室に入り、いくつか特許をとったり仲間に出会う中で、自分に自信がついたのは確かです。「やるぞ!」と勢い込んだわけでなく、淡々とやるべきことをやっていたら「目の前に起業があった」という感じです。
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山城さん
私は、腰がつらい中山先生のために作った〈フワット〉が福祉機器コンテストで受賞し、製品化することになったのが起業のきっかけです。機器の製造には資金が必要なのでクラウドファンディングを活用しましたが、その後のフワットの発展とリスク分散として起業しました。
浅川さん
私は昨年10月に起業したばかりです。昨年、佐賀県から研究室に仕事依頼があった時に、先輩方から声をかけてもらったのがきっかけです。入学当時は起業するとは思ってもいませんでしたが、勢いで起業することになりました。
中山先生
研究室から4人の社長が出ていますが、特に起業を勧めているわけではありません。やりたいことに対して起業が向いていれば勧めるし、向いていなければ勧めません。起業は、やりたいことをやるための一つの方法に過ぎません。

大学生活や起業を通して感じたことは?

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梶原さん
佐賀大学でプログラミングを学んだこと、中山研究室に入ったことが、私の大きな転機です。起業に際しては、特に大変だと感じたことはありませんが、起業後は様々な苦難を経験しました。今の会社は個人経営で自分の思い通りに決断することができ、非常におもしろいです。
森山さん
私も、入学してソフト開発にのめり込めたことがよかったです。佐賀大学や中山研究室には、自分が頑張った分だけ応援してくれる環境があります。起業した当初は、「失敗したらやめればいい」と思っていましたが、お客様と接していく中で覚悟が定まり、今はずっと仕事を続けていきたいと思っています。
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山城さん
大学に〈フワット〉の研究予算を組んでもらったり、佐賀大学発ベンチャーの第1号をいただいたりと、佐賀大学には応援してもらっていると感じています。イベントや展示会ではお客様と直接関わることも多く、お客様がいることのありがたさ・面白さを感じています。
浅川さん
入学当初は勉強にもあまり面白みを感じられませんでしたが、研究室に入ったらすごい人ばかりで「ここなら面白い、頑張れる」と思いました。仕事としては難しいことも多いですが、研究室には個人的に目標にすべき人も多くて、日々やりがいを感じています。
中山先生
研究室は技術を教える場ではなく、一人ひとりの働き方や学び方を見つける「場」、能力を伸ばす「場」、活躍できる「場」でありたいと思っています。今回、学生たちの話を聞いていると、自分の気持ちが伝わっているようで、とてもうれしく思います。

梶原薪さんの学びと成長